元スレ京太郎「部キャプは王道」

みんなの評価 : ☆
151 = 3 :
***********************
「この部屋だし、多分」
着いたのは普通のマンション。特に高級そうとかいうこともない、なんの変哲もないところだった。
エレベーターがあって良かった、と思いながら、なんとか部屋の前までたどり着くことができた。
「鍵がいるし……コーチ、失礼します」
ゴソゴソとコーチの体をまさぐる。カバンの中はタクシーの中で検めたから放っておく。
その時、久保の手が動きを見せた。
久保は先程から、何かを求めるように周囲を手で探る動作をする。
タクシーの中ではそれに巻き込まれて、運転手の目があるにもかかわらず抱きつかれてしまった。
背中に走る悪寒と、なぜか熱くなる頬という名状し難い状態に陥ってしまい、慌てて久保を引き剥がした。
同じ鐵は踏まないし、と咄嗟に回避する。
しばらく空を切ったあと、久保の腕は再び床に横たえられた。
153 = 3 :
再び動き出す気配がないことを確認して、再び池田は鍵の捜索に取り掛かる。
いつものスーツと違い、今日の服装はラフだったためポケットの数は少ない。
鍵を見つけ、すぐに部屋の扉を開ける。こんな格好のコーチを近隣住民の衆目に晒すわけには行かない。
中途半端に開いたドアの隙間から中に入り、コーチを引きずり込む。
意外というかなんというか、いつもピシッっと決まったスーツ姿ばかり見ているからだろうか。
パッと見ただけでも10足以上の靴が置いてあるシューズラックを見て、少し衝撃を受ける。
そういえば今日の私服もなかなか洒落ている。服装にはこだわっているのだろうか。
玄関から中へ進み、角を曲がったところで広めのキッチンに出た。
が、ここでも少し驚くことになった。コンビニ弁当やカップ麺のカラなど、出来合い・インスタント食品の残骸が詰め込まれたゴミ袋が、ど真ん中に鎮座していたからだ。
しかも壁際にも似たような袋が2つほど置いてある。
もしかしたら積んであったものが崩れたのかもしれない。
154 = 6 :
ほ
155 = 131 :
池田のネコミミほお擦りしたい
156 = 6 :
ほ
157 = 6 :
ほ
159 = 6 :
ほ
160 = 3 :
ほ
161 = 3 :
ほ
162 = 3 :
ほ
163 = 3 :
そして流しには特になにもなく、最近使われた形跡が見られない。
マグカップや薬缶すら見当たらないとは……と思いながら、ゴミ袋を部屋の隅に除ける。
どうやら2Kの部屋のようで、トイレ、バスルームへと続くと思わしき扉の他に、もう2つ扉がある。
とりあえず近いほうを、と思い、玄関側の扉を開ける。
どうやら寝室のようで、シングルサイズのベッドとクローゼット、そして鏡台が置かれていた。
「ブッ」
思わず吹き出してしまう。ベッドの上にコーチのイメージとは全く結びつかないアイテムが“寝転がって”いたのだ。
猫の抱き枕。
異常なほど胴体の長い猫の抱き枕が、頭を枕に載せた状態でゴロン、と転がっていた。
しかもご丁寧に、その長い胴体の半分以上は掛け布団の下に収まっている。
164 = 3 :
「こ、これは、意外どころの話じゃないし……」
一体何に使っているんだろう……
まさかこの鬼コーチが、こんなかわいいモノに抱きついて寝ているはずはない。
あれかもしれない。某幼稚園児が主人公の漫画に出てくる人のように、イライラした時にサンドバック代わりにしているのかも……
「はっ、まさか……」
嫌な想像が頭をよぎる。
コーチがこの抱き枕の首根っこを掴んで持ち上げ「池田ァァ!!」と言いながら平手打ちをかましているという、悪夢のような光景が。
ブルルッと体を震わせ、さっさとこんなところからはオサラバしようと、先ほどよりも幾分気合の入った状態で、寝こけている酔っぱらいを寝室に引き込む。
しかし、ベッドのそばまで持ってきたはいいが、その上に引き上げることができない。
コーチと池田ではかなりの体格差がある。
おまけに池田は文化部。力もあるとは言えない。
しばしの逡巡の後、床に転がるコーチに掛け布団を掛けるだけにしておこうと決めた。
165 = 3 :
ベッドの上の布団を抱きつくような形で持ち上げる。
その瞬間、布団に顔を埋めるような形になり、ふわりと柔らかい芳香が感じられる。
(これ、もしかして、コーチの……)
一瞬フリーズしてしまった池田であったが、咄嗟に顔を離し、布団をコーチの上に放り投げる。
羽毛であったのが幸いし、布団はボフンと風を巻き起こしながらも、ふんわりとコーチの上に着地した。
しかし、池田の脳内はそれどころではなかった。
今腕の中から消えた布団からは、まるでキャプテンの福路に膝枕をされた時のような、優しい香りが感じられて“しまった”のだ。
なぜ鬼コーチの布団から、天女のようなキャプテンと同じ香りがするのか?
池田にとってこれは大きな問題である。
久保と福路にあってはならない共通点を見つけてしまうなど。
困惑した思考は、なぜか怒りのようなものへ変化し、その矛先は目の前の布団の主に向けられた。
(こんな手で華菜ちゃんを惑わそうなんて……許せんし!)
久保を悪役にして、どうにか今の状況を説明しようとする。
166 :
しえーん
168 = 3 :
敬愛する福路に対する裏切りをしてしまったような罪悪感から逃れるために。
それでも困惑から抜け出せないままつっ立っていると、先程は隠れて全体が見えなかった抱き枕が目に入った。
(これだし!)
池田はひらめいた。これで報復してやろう、と。
少し布団をめくって、久保の上半身の片側を出す。
そこに胴長猫をそっと横たえてやる。
(これで写メを撮って、みんなに一斉送信してやれば……)
後のことを全く考えずに、無謀な計画が頭に浮かぶ。
それが一体どういう事態を招くかについて考えが至らない。
なにか取り返しのつかないことをしているんじゃないか、という感じが心のどこかにある。
しかし、もう引き返すつもりはない。
起こさないように、起こさないように……
慎重に、コーチが猫に抱きついているように見えるポジションを……
169 :
関係ないけど咲日和の久保コーチは割りと気さくな印象がある。
170 = 3 :
その時だった。
「池田ぁ……」
コーチが、動いた。
ビクッと、一瞬で手を引っ込め、コーチから距離を取る。
起きたのだろうか、いや違う、ただの寝言だ。
自分に言い聞かせるようにして、それでも真偽を確かめようと、少しずつコーチへ近づいてゆく。
(…………)
どうやら、ただの寝言だったようだ。
それだけなら良かった。
しかし、事態は少し意外な方向へ動いた。
(絡みついてるし……)
171 = 3 :
猫の胴体に腕を回し、抱きしめているところまではまだ良い。
問題は、まくれあがったスカートから、惜しげもなくさらけ出した足までも猫の胴体に絡めて、きっちりホールドしていることだ。
些か扇情的に過ぎるその姿、そしてそれがあのコーチであるという二重の衝撃で、池田はそこから目が離せなくなってしまった。
「池田ぁ…」
そう言いながら、久保は猫に顔を埋める。
(池田池田言いすぎだし……)
一体なぜ自分の名前をここまで呼ぶのだろう?
そんなに自分のことを憎んでいるのだろうか。
そういえば、街で会ったとき二年連続予選敗退について、何かグチを言っていた気がする。
そんなこと思いながらも、頭の中で見て見ぬ振りをしていた、ある可能性が大きくなっていく。
そしてそれは、遂に明確な形を持って思考に侵入してきた。
172 = 131 :
うふふ…
173 = 3 :
この猫に「池田」という名前を付けているのでは?
気になっていたあの仕草は、この猫を求めてのものだったのでは?
一度思い至ってしまったら、もう引き返すことは出来ない。
その考えが思考を支配してゆき、ほかの可能性を考えることができなくなる。
背筋を寒いものが、じわりじわりと上ってくるのが分かる。
(そんなバカな。ありえないし。だってコーチはあのコーチで)
ぐるぐると着地点の見えない考えが頭を巡る。
これ以上はマズい。今すぐ帰ろう。
危険なモノから逃げるように、池田はその場から立ち去った。
174 :
しえん
177 = 3 :
***********************
マンションが見えなくなるまで走ってから、ようやくタクシーを呼ぶつもりだったことを思い出した。
ここからバスや電車で帰るとなると、かなりの時間がかかってしまう。
も
う完全に日は落ちていて、人影もちらほらと見えるだけ。
せっかく貰ったタクシー代だし、遠慮せず使ってしまおう。
そこで気づいた。
(カバンないし)
頭が真っ白になるも、なんとかどこに置いたのか思い出そうとする。
いや、考えるまでもない。
今の状況で忘れてくることが考えられる場所など、一カ所しかないではないか。
178 = 3 :
信じられない。信じたくない。
それでも、玄関に入ったときにカバンを置いたことを、確かに覚えてしまっている。
こうしている間にも夜の帳が落ちていくことに変わりはない。
今すぐ戻らなくてはいけない。
なんとか決断し、今走ってきた道を戻っていく。足取りが重いのは、歩きすぎて疲れたから……だけではない。
本能のようなものが、得体の知れない感情が、「あそこは危険だ」と告げているのだ。
重い足を引きずりながらなんとか久保の部屋の前までたどり着く。
久保が起きていることを考えてインターホンをならそうかとも思ったが、その音で起こしてしまいかねないので、とりあえずドアノブに手をかけてみることにした。
ガチャリと開くドアに、そういえば鍵をかけないまま出て行ってしまったのは不味かった、という思いがよぎる。
179 = 3 :
どうしても此処に来なければいけなかった理由をもう一つ見つけ、逃げ出したい思いが少し抑えられたような気がする。
できるだけ音を立てないように、慎重に歩みを進める。
部屋の中の様子は先ほどと変わらない。どうやらコーチはまだ起きていないようだ、と安堵する。さっさと鞄を持ってオサラバしよう。
幸い玄関に入ってすぐのところに置いたため、鞄に関しては問題がなかった。
しかし、この部屋のドアを開けた鍵は、久保が見つけやすいようにと、キッチンの小さなテーブルの上に置いていた。
あのときの自分はなんてバカだったんだろう。
そこは、鍵を閉めてポストに入れておきました、という書き置きを残すところであって、鍵そのものを置いてしまっては意味がないだろう。
そう自分を責めながら、鍵を閉めないで帰ってしまおうかと考える。
先ほどの久保の姿が目に浮かぶ。あれがもし本当に自分のことを「想って」の行為だったら……
背筋が寒くなる。しかし恐怖だけではない、ほかの感情があることも、かすかにだが感じられる。
180 :
ホラーの夏
181 = 174 :
ほ
183 :
しずもんはさるじゃないもん!しえしえ
184 = 3 :
それを直視してしまったら、引き返せなくなる気がして、ひたすらに無視を決め込んではいるが……
しかし、こうやっていつまでも悶々と悩んでいるわけにも行かないし、部屋の鍵はやはり閉めなくてはいけない。
時間がたてばたつほど久保が起きてくる可能性は高まる。
ならば電光石火のごとく目的を遂行して、速やかに撤退するのが最善だ。そうと決まれば、行動は早い。
音を立てないようにしながらも、素早く扉を閉め、靴を脱いで部屋へ上がる。
角を曲がり、キッチンのテーブルが見えた、そのときである。
すぐ左の前方にある、寝室のドアが開きっぱなしになっていることに気づいた。
いや、それだけではない。
なにか、なにか音が聞こえてくる。
これは、いったい、なんのおと
「いけだぁ・・・・・・」
自分の名前を呼んでいるのはいい。
これはさっきと変わらない。
186 = 3 :
しかし
これは
この微かに聞こえる、水っぽい音は……
そのとき、まるで図ったかのようなタイミングでポケットの中の携帯が鳴り出した。
一瞬凍り付いた後、慌てて携帯をとりだし着信を切る。
吉留からの電話だった。
(次にあったら、二度と麻雀ができない体にしてやるし)
しかし、そんなことよりも今はこの状況を何とかすることの方が問題だ。
なぜなら
先ほどの音が何も聞こえなくなっているだけではなく
目の前に、ゆっくりと、コーチの横顔が現れたからだ。
マズい。
これはマズい。
190 = 3 :
しかし、この段階では、まだコーチの目は自分に向けられていない。
(こ、このまま壁に張り付いていれば、見つからずにすむ可能性が微粒子レベルで)
(あ)
目が、合った。
その瞬間、池田も久保も、表情のない能面のような顔で見つめ合った。
(そういえば、そろそろ夕ご飯の時間だし。おなか減ったし)
池田はあまりのショックに思考をトリップさせていたが、久保の行動によって再び現実に連れ戻された。
久保は池田の手を取り、強引に部屋の中に引きずり込み、池田を掛け布団のないベッドの上に突き飛ばした。
突然のことに、反応することができない池田。なにか非常に危険な事態に陥っているのはわかるが、体が全く反応しない。
こちらを見下ろしている久保の表情は、キッチン側からの光が逆光となっているため窺うことはできない。
しかし、その服装の乱れが、先ほど自分が耳にした音の正体を確信させた。
191 = 3 :
(「いけだ」って、あれここベッド、コーチがこっち来るし)
なぜだろう、これから何をされるのか予想はつくはずなのに、抵抗する気が起こらないのは。
覆いかぶさってくる久保からは、あれほど鼻についた酒の匂いは、なぜか全く感じられなかった。
***********************
「お先に失礼します、キャプテン」
「さよなら。気をつけて帰ってね」
そう言って後輩が部室をあとにする。
福路以外の生徒は、もう部屋に残っていない。
夏が近づくに連れ日が長くなり、この時間になっても夕日が窓から差し込んでいる。
荷物をまとめて部屋から出る。
192 = 174 :
ほ
193 = 3 :
鍵を取り出して、一瞬施錠をするかどうか迷うが、そんなことを考えてしまう自分が嫌になる。
どうせあの人は鍵を持っているんだから、閉めても問題はない。
そもそも自分がそんなことに気を配る……いや、知っていること自体可笑しいのだから。
いつもどおりに鍵をかけて、階段の方へ向かう。
しかし、福路は階段を下りるのではなく上っていった。
部室がある階のひとつ上の階。
コの字型の校舎の、部室のちょうど対面に当たる教室に近づいていく。
扉の窓から、中に誰もいないのを確認してから、音を立てないようにそっと体をすべり込
ませる。
教室の端を歩いて窓際まで行き、反対側にある部室の方を、身を隠しながら確認する。
(まだ、来ていないみたい)
なぜ、自分はこんなことをしているのだろう。
確かに、彼女たちがやっていることは問題だが、それを直接咎めるのではなく、さりとて
無視もせず、覗き見ている自分はいったい……
194 = 3 :
――――事の始まりは、1週間ほど前だった。
その日、福路はいつも通り最後まで部室に残り、施錠をしてから帰路についた。
夕日が照らす校庭はとても美しいはずなのに、なぜか心が満たされることはない。
いつのまにか、一人で歩く帰り道に寂しさを感じるようになってしまっていたようだ。
1年生の頃であれば、いつも1人で帰るのは普通で、別にさみしいと感じたことはなかった。
長いあいだ仲のいい友達ができず、一人で過ごすことが多かったためだ。
しかし、2年生になってからは状況が大きく変化した。
新しく麻雀部に入ってきた少女、池田華菜。
彼女は、その溢れんばかりの快活さで、福路の生活を明るく照らしてくれた。
福路にとてもよくなついて、部活中のみならず、下校時にもついてまわるようになり、最
終的には朝の登校時にも、福路のことを通学路の途中で待ち構えるようになった。
通常なら鬱陶しがられるような行為だが、福路にとってそれは楽しみであり、救いでもあった。
池田がいるおかげで、誰かと仲良くするということの楽しさを、再び味わうことができた。
福路にとって、池田は可愛い後輩であり、恩人でもあるのだ。
196 = 3 :
しかし、最近になって池田の様子に変化が現れ始めた。
県予選が終わって3週間ほど経った頃だろうか。
今までは部活が終わって部室を施錠するまで残り、福路といっしょに帰宅していた池田が、急に福路よりも早く帰るようになったのだ。
朝の登校時や部活中は今までどおりであったが、放課後だけ「妹たちの世話があるから」と、部活が終わると同時に帰ってしまう日が続いた。
しかも、そのころから池田の笑顔に少しずつ陰りが差していくようになった。
県予選が終わってからは確かに元気がない日が続いていた。
しかし、それとは全く雰囲気の異なる、落ち込んでいると言うより思いつめた表情をするようになったのだ。
もちろん本人はそれを否定する。否定した上で、その陰を塗りつぶそうと必要以上に明るく振舞う。
そんな痛々しい姿を見ていられなかったため、しばらく余計な詮索はせずに、様子を見ることにした。
197 = 3 :
その日も福路は一人校門を出て家へと向かっていた。
基本的に寄り道はしないため、真っ直ぐ帰宅するルートを選択して。
校門から5分ほど歩いたところだった。
丘沿いの道を歩いていると、下の方の道を、よく知っている人間が歩いていくのが見えた。
一瞬、彼女の表情を見て心臓が凍りついた。
(なんで……どうしてそんな顔をしているの……?)
部活の時には、時折陰を覗かせていたとは言え、以前の明るさを完全になくした様子は見せなかった。
しかし、今の彼女の表情はどうだ。
暗い表情ならまだ良かった。
今の彼女の顔からは、なんの感情も読み取れなかったのだ。
まるで蝋人形の顔のようで、池田華菜という存在とはどうしても結び付けられないような表情。
198 = 3 :
考える前に、体が動いていた。
池田が向かっている方向は、明らかに自宅と反対の方向。
妹の世話がある、というのが、真実を隠すための方便であるというのははじめから気づいていたが、こうまで露骨に嘘だったと思い知らされるのは堪える。
しかし、いまはそんなつまらないことを考えている場合ではない。
池田にあんな顔をさせている原因を、突き止めなくてはいけない。
これから池田が向かう場所に、それがあるはずだ。
池田が辿り着いたのは、やはり風越の校舎だった。
バレないようにかなりの距離をおいて後をつけてきたが、校舎の中に入られるとなると、距離を詰めなくてはいけない。
池田が玄関に入ったことを確認して、一気に接近する。
音を立てないように、慎重に廊下を歩く。
何処へ行くつもりなんだろうか。
池田と関係のある場所といえば、麻雀部関係の部屋か教室しか思い浮かばない。
やがて目的の部屋の前に到着し、その部屋の扉を開け、中に入った。
予想通りと言えるのかどうか、池田が中へ消えた部屋は、麻雀部の部室だった。
199 = 3 :
ここでひとつ、おかしいことに気がつく。
池田は鍵を開ける動作を行うことなく扉を開けた。
しかし、部室の扉には間違いなく鍵がかかっているはずだ。
それもそのはず、鍵をかけたのは紛れもなく福路自身だったのだから。
この部室の鍵を持っている人間は、福路を含めて2人しかいない。
福路が開けていない以上、部室を開錠した人間は必然的に決定するのだが……
嫌な予感がして、部室の扉越しに聞き耳を立て、中の様子を伺う。
やはり……
聞き覚えのある、2つの声が中で会話している。
抑えた声で話しているため、会話の内容を完全に聞き取ることはできない。
しかし、次の一言だけは明確に聞き取ることができた。
「脱げ」
思考がフリーズした。
200 = 33 :
しえん
みんなの評価 : ☆
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